Bondi Effects Del Mar Overdrive mk2のレビューです。
発売早々に購入してスタジオでバンドアンサンブル内で大音量で鳴らしてきたので、実地での使い勝手も含めてのレビューになります。
Bondi EffectsのDel Marと言えば、2014年の発売当初はコアなペダルギークが目をつけたものの、日本の市場ではジワ売れみたいな感覚で広まっていったような印象が当時ありました。誤解のない言い方をすれば、カルト的な人気を誇るペダルの片鱗はこの時点ではまだなかったでしょう。
2017年にDel Marは諸般の事情で生産完了となりますが、逆に日本国内では同社から発売されたSick As Overdriveの方が流行っていた気がします(田淵ひさ子さんとかの使用で圧倒的に知名度がありましたからね)。
その後Del Marが爆発的に知名度を得たのは、2018年~2019年前後に第58回グラミー賞新人賞 にもノミネートしたマテウス・アサトが使用したことが一番のきっかけ。
以来、Del Marの市場価値はそんじょそこらのエフェクターを一蹴するような価格帯まで吊り上がり、しまいには限定受注生産されたリイシュー分も即売れ完売。依然としてオリジナルDel Marの中古市場価格は高く、まさに珍獣めいたオーバードライブペダルに。
入手困難でおまけに価格高騰という経緯もあり、自分にとってDel Marは高嶺の花みたいなエフェクターでした。
ところがそのDel Marがアップデートされ、mk2となって帰ってきたではありませんか!
Del Mar(デル・マー/あるいはデル・マール)。カリフォルニア州サンディエゴの太平洋を臨む都市の名前。スペイン語では「海から」 という意味もあります。
ブランド名でもあるBondi Effectsの"Bondi"も、オーストラリアのビーチであるボンダイビーチから来ているので、製作者のJohn Ashley氏は海に何かしらの意味を込めているのかもしれません。もともとJohnはオーストラリア出身でアメリカに渡ったみたいだし、ブランドイメージのロゴも波模様なので。
コンセプトは「KLON CentaurとTube Screamer、Marshall Blues Breakerの特性をBondi Effectsならではの再解釈でチューニングした、2モードの4ノブオーバードライブ」 と、至ってシンプルなペダルです。ケンタウルスの名が出たからには、当然クリーンサウンドをドライブにブレンドする回路になっています。
Del Marの後発となったBreakers Overdriveも似たようなコントロール系統で、実質Del Marの後継機みたいな位置付けだったし、何ならSick Asもクリーンブレンド機能を有しているのでケンタウルス系によくカテゴライズされます(実際の音はケンタウルスとは違うけど) 。
2モードのトグルスイッチの役割は明確で、上側でミドルに音の重心が寄ったケンタウルス系のクリッピングに。
下にするとオープンで煌びやかなBlues Breaker系のクリッピングになります。
ゲインノブはクリーンブーストとオーバードライブのブレンドと、ゲイン量のコントロールの2つの役割を兼ねています。
筐体のデザインも地味だったオリジナルから変更され、最近のBondiらしいデザインにアレンジされています。mk2の方がカワイイですね。
フットスイッチはLOVEPEDALとかでよく採用されているソフトクリック感触の丸みのあるトップが特徴のヤツです。
やわらかい踏み心地が気持ちいいですが、市販のフットスイッチハットには対応していない形状です。
■効果的に効くEQと超立体的なサウンド
Bondi Effectsのペダルラインナップに共通して言える特徴として、トレブルの音がかなり目立って出てくる ことが挙げられます。
EQが12時の時点で既にそれは顕著で、過度にトレブルを上げなくても高域のサウンドが際立っているのがわかります。
ここからトグルスイッチ両モードの特性に合わせて適時EQで音を追い込むのが理想ですが、このEQがかなりよく効く上にブースト/カットの効果が明確で、目的のサウンドにスピーディーに辿り着くことができます。12時位置をフラットとした場合、トレブルの効きはリンッとした鈴鳴り部分をより強調したい時に、ベースはミドルから下の重心をより持ち上げたい時に上げると良好です。
2モードともにギター本体のボリューム反応が抜群で、ボリュームの位置で角を落としたマイルドな音から、芳醇なドライブサウンドまで自由自在。
・Blues Breakerモード
まずトグルスイッチ下のモード。こちらはコンプ感が薄くオープンなサウンドのBlues Breakerスタイルのクリッピング。
Del Mar mk2の消費電流は100mAと、一般的なオーバードライブよりはやや高めです。これには内部昇圧で24Vに昇圧されているのが要因で、かなり広いハイヘッドルームを誇ります。
そして注目すべきは、オリジナルDel Marの消費電流は20mA、対して限定生産されたリイシューDel Marは100mA。
よくリイシューはオリジナルと比較して「トランスペアレントみが強い」 と言われていますが、この傾向はmk2でも引き継がれているわけです。
とにかくこのBlues Breakerスタイルのクリッピングモードではトランスペアレントな音が特徴で、前述した高域特性と相まってバキンとしたドライブサウンドが身上です。 ガラス感もあり、グラッシーで凛とした音。
ゲイン幅は左に振り切った状態から11時くらいまではハリのあるクリーンサウンドで、ジワジワと飽和感が増してきます。
12時からはピッキングにジリッとしたドライブが混ざり、手元のニュアンスで表情豊かにドライブしてくれます。右へ振り切るとハードオーバードライブの領域に突入。倍音感が特別豊富という感じでもないですが、総体的にすっきりとしていて、各弦の分離感が際立ち素晴らしく明瞭な音。 ゲイン量もオーバードライブとしての範囲では十分です。
特筆点は音の立体感とピッキングニュアンスへの追従性。オープンな特性上、ピッキングにシビアなコントロールを要求されますが、とにかく弾いていて気持ちいい。
音の立体感はクリーンサウンドをミックスしている回路の恩恵で、どれだけゲインを上げても常に音の芯があり、アンプのスピーカーから素直にスコーンと音が抜けてくれます。
これで音が抜けなかったら弾き手自身が相当ヘタクソか、セッティングにセンスがないと言い切れるくらいには、めちゃくちゃクリアで芯のあるドライブサウンド。 個人的にもかなり好きなモードです。
Marshall Blues Breakerといえば2006年以降のジョン・メイヤーの愛用ギアとして近年再びフィーチャーされ、トランスペアレントなオーバードライブとして改めて注目を浴びましたが、この下のモードでContinuumあたりのアルバムのフレーズを弾くとかなりハマってくれます。
・Centaurモード
そしてトグルスイッチを上にしたケンタウルスクリッピング。こちらは下に比べてコンプ感が加わり、ミドルがググッとせり出してきます。
アウトプットレベルが下がるので、そのへんは適時調整が必要です。トレブルの主張もやや控えめになり、ベースと合わせてフルレンジブーストさせると素晴らしい音になります。自分の好きなポジションはトレブルとベース共に2時前後まで上げてドライブさせたセッティングです。
やはりこのモードでも常にドライブサウンドに芯があり、なるほどケンタウルス系からインスパイアされましたよというのがわかるような、より肉厚でありながらもスピーディーさは損なわれていない、引き締まったスムーズな音が特徴です。12フレット以降の倍音感にはTS系に通じるような香ばしいミドルの充実感があります。
ミドルが主張しだしてくると途端にゴチャッとなるオーバードライブが多いですが、そこはやはりBondi Effectsならではのチューニングが効いているのでしょう。あくまでもすっきりとしていながら、ギターのおいしいミドルレンジの音をこれでもかと響かせてくれます。
フロントピックアップにした時の甘いサウンドも格別で、ハイフレットのプレーン弦の凝縮された旨味のある音がとにか絶品。ベースを上げてもローがもたつくことはなく、アンプの特性も殺すことなく、あくまでもナチュラルドライブに徹してくれます。
ゲインを抑えたクリーンブースト時の音も格別。ゲインをゼロにしてオンにするだけでサウンドの質が1ランク上がる印象です。
Blues Breakerモードに比べて、よりパンチのある音を出したいならこちらのケンタウルスクリッピングが合うかもしれませんが、両モードともコントロールはシンプルでありながらセッティングをかなり追い込めるので、Blues Breakerモードでもパンチが足りない!っていう状況にはあまり陥らないかもしれません。ギター本体がシングルピックアップかハムバッキングでも、明確にキャラクターの違いを出力してくれるので、自分が出したい音に素直に追従してくれます。
どちらかと言えば両モードの特性の違いを理解した上で、コンプ感やアタックのニュアンスの違い、音像の重心の位置で使い分けるといいと思います。
これも余談ですが、TS10+ケンタウルスがジョン・メイヤーの近年のサウンドの肝であることは有名なので、Del Marのケンタウルススタイルのクリッピングでもジョンのサウンドにかなり肉薄できると思います。何だろうこれ。ジョン・メイヤーマシーンなのかな。とにかくハマります。
■前段をオーバードライブでブーストすると……
Del Mar mk2単体でのクリーンブースト効果は言うまでもなく素晴らしいですが、他のオーバードライブとのかけ合わせも楽しいです。
自分は
EMDのPD-1 を前段でブーストさせてDel Marをさらにプッシュしたところ、VOX AC30のチャイミーでクリスピーな音をさらに押し上げたような高級感のある音になり、
「これMATCHILESSの音じゃん!」 とテンション爆上がりに。
もともとDel Marが叩き出す良好な高域成分がさらにPD-1でワンプッシュされた感じで、今ではお気に入りのセッティングです。
PD-1をDel Marでブーストするというセッティング自体が金持ちの道楽って感じがしますが、もう出てくる音も「金!金!金!」 です。金の音はいい音がします。
■ノブ位置の変更だけは謎
こんな感じでかなり気に入ったDel Mar mk2ですが、1つだけ気になる点があります。
オリジナルおよびリイシューに対してドライブとアウトプットのノブ位置が左右逆に、EQの段も上下で入れ替わってトップ側に来ています。
買う前に昔のオリジナル Del Marを参考に予習していったため、この配置にめちゃくちゃ戸惑いました。
まぁ慣れてしまえばどうってことないんですけど。最初楽器屋で音出しした時は思いっきり間違えてアウトプット全開に近い位置で爆音で鳴らしちゃいました。
■名機の名に恥じないアップデート
購入早々に自分の機材環境へ投入して、半ばぶっつけ本番でバンドアンサンブル内で使用してきましたが、何も迷うことすらなくすばらしいサウンドを出してくれました。それくらいに汎用性が高く、且つ音にこだわるギタリストの感性に訴えかけてくるような、見事なチューニングだと思います。
クリーンサウンド〜ハードオーバードライブまでを自在に行き来し、プレイヤーの感性をさらに引き出してくれる、「決して派手ではないけどすごいオーバードライブ」 の筆頭に食い込んでくると思います。かつてオリジナル Del Marがそうであったように、細かいアップデートはありつつも名機の血筋は確かに引き継がれています。
職人気質のギタリストが使うと、無限に魅力を引き出せそうなポテンシャルを秘めた、とても良いオーバードライブだと思います。
かつてDel Marに手が届かなかった人はもちろん、即戦力にして使えるオーバードライブを探している人には、是非試してもらいたいペダルです。
現場からは以上です。
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